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ポートレートを撮るようになったワケ

 「きっかけ」って、みんな人それぞれにあるんでしょうけど。

 初めてポートレートを撮影した10年前、実は僕は心身共に大変な状況下にあって、毎日を不安な思いで過ごしていました。今にして思えば、生きる理由、生きる目的を見失いかけていたんです。

 でも時間だけはふんだんにあって、

 「何かやりたいな」
 「そして、取り巻く不安から逃げ出したいな」

 そんな気持ちだったのでしょうか。

 何かやりたい・・・季節は春で、白鳥や鶴は撮りに行けない。何か別の・・・。それまで、冬場の白鳥や丹頂の撮影以外には、家族旅行の写真ぐらいしか撮っていなくて、せっかく写真やっていて、春夏秋ってどうしたらいいんだろう?

 そんなある日、僕がいつも機材を買う(新品の場合)ヨ○○シカメラの店頭に偶然モデル撮影会告知のポスターが貼ってありました。それを見て、あっさり『行ってみようかな・・・?』と思ったんです。

 そして当日・・・モデルさんも20人ながら参加カメラマン400人超という数字に唖然としながらも、とにかくは雑誌等で読みかじった知識をベースに、僕は初めてのポートレート撮影を体験していました。Nikon F5のファインダーの中には、他のモデルさんに比べるとやや小柄でしたが、とてもきれいで可愛い女の子が立っていました。

 3日後、リバーサルの上がりを見ながら、「結構イケてるじゃん」「いや・・・こんなんでいいのかなあ?」さまざまな思いでした。

 同じ年の初冬、あの時の彼女が再び出演すると知って、撮影会にはもう一度、行きましたっけ。 でも、その時の撮影は、全く手応えのない結果に終わりました。大勢が集まる「撮影会」というものに対して、「何か違う」と、既に感じ始めていたのかもしれません。迷いを持ったままで撮影したのが、いけなかったのかもしれません。そうして月日が経つうちに、撮影会告知に彼女の名前を見る事もなくなりました。

 そして翌年秋。 何気なくテレビを見ていた僕は、「あっ、この子!」と。

 ブラウン管の中に彼女が映っていました。そう、後に小○真○嬢を大ブレイクさせた消費者金融のあのCM 「はじめての○○○」のコールセンターのお姉さん役として・・・。
(テレビに出るくらいになったんだね、おめでとう。でも、もう撮る機会はないだろうなぁ)

 僕にとっての「はじめての」モデルさん、山中富士子さんとはそんな想い出です。
撮影会規約もあって、ここにその写真を掲載することは出来ないのがちょっと残念だけれど、写真は大事に取ってあります。

 そうして、さしたる回数もこなさないまま、始めたばかりのポートレート撮影は中断。 月日は流れて2003年秋。世はすっかりデジカメの時代。銀塩カメラの先行きが不安になり始めた頃。初めてのデジタル一眼としてNikonD2Hを入手していたものの、それを活躍させる間もなくあっという間に1年近くが経ちました。

 翌夏、僕は職場を去る事を決め、転職活動を始めつつ、徐々に出勤量を減らし休みの消化をしていました。それほど休みが溜まっていました。僕の心身は再び疲れきっていましたが、この夏から転職を果たす直前の翌年年始にかけて、僕としては非常に多い、7回に亘ってのポートレート撮影をしています。大小の撮影会であったり、個人的に若干撮らせて頂いた方もいらっしゃいました。

 転職先は・・・覚悟していたとはいえ、かなり多忙でした。休みも少なかった。帰宅も深夜になる事が殆どに。転職したての不慣れから来る疲労も溜まり、少ない休日は家でぐったり。そうしてまたもや撮影から離れてしまいました。

 2006年1月、僕は再び丹頂の撮影のために北海道の地に立っていました。溜まりに溜まった公休を、漸く少しだけ消化した、転職後初めての連休でした。まる三日間、僕は何もかも忘れて撮影に没頭しました。

 北海道から帰った後、やはり、何らかの撮影を本格的に続けたいという気持ちは強くなっっていました。でもどちらにせよ、東京で定職に就いている以上、頻繁に遠隔地に行くことは出来ません。

 そしてその夏、僕は動き始めました。そう、本格的にポートレート撮影を始めたのです。



 初めての撮影からもうすぐ10年。でも、本腰を入れていた期間は短くて、5年位のものでしょうか。そして、漠然と「機会に参加する」から、「どう撮るか」というスタンスに変わってきたのはここ2〜3年ぐらいです。

 白鳥や丹頂の撮影も難しいと思ったけれど、女性ポートレートもすごく難しい。

 生半可な気持ちでは、撮れません。何より、被写体を大切にしなければ、撮れません。



 身辺状況の事や、仕事のこと。そんな都合にも振り回されながら、何度も中断しながら、でも、ふと時間が出来て、「何かやりたいな」って思った時。僕はカメラを手に街に出ていたような気がします。

 量産の必要はありません。モデルになって下さる女性の数も、欲張る必要はありません。

 ゆっくり、ゆっくり。じっくり、じっくり。

 そうしていつか、僕だけのオリジナルな世界が見つけられればいい。

 僕はそうして、レリーズを切る。



 ・・・なんてね。長々と読んで下さってありがとう。以降は、個々のモデルさんのコンテンツをご覧になって下さい。

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